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スズハラくんの新しい朝(まえがきにかえて)



(まんが風スズハラくん/mさん)


 スズハラくんの一日は、べべぶべべぶ、という振動音から始まります。
 携帯電話を目覚まし時計替わりに使っているのですが、ずっとマナーモードなので、べべぶ、という音しかしないのです。
 彼ののぺっとした白い腕がその水色の携帯電話に伸びて黙らせると、彼の携帯電話の一日の仕事はそれでだいたい終わりです。
 スズハラくんの手はそのまま寝る前に読んでいた本(どうやら今日は『海底二万海里』のようです)やらパソコンのマウス(三代目。その全てが、ねずみいろです)やらをバタバタとサイドテーブルの下に落とし、ようやくメガネ(黒ぶち)にたどり着きます。
 メガネをかけて、大きな欠伸をひとつ。
 欠伸の拍子にポロリと出た涙で、ふと昨日の夢を思い出します。でも涙となって出てしまうと、すぐにそれは頭の中から消えてしまいます。

 目を閉じてスズハラくんは、それを思い出そうとします。昔のことだったような、自分なんて全然出てこない夢だったような。

 なんでもない朝の、一瞬の出来事です。



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